先祖が残したお墓を来歴と共にいつまでも形に残しておきたい。先祖に対する敬いと弔いの心、そして何より感謝の気持ちを後世へと伝えるため、このたび山形市の真宗大谷派 等栄寺に建立された斎藤氏廟について紹介いたします。〔施工:ナイガイ〕
外寸:約14尺(4.3m)×10尺(3.2m)×H12尺(3.6m)
◎斎藤氏廟のデザイン
(1)石廟について
・中央に置かれた古い石塔は約400年前に建てられたものです。それを囲う壁面は、角面を取った部材を組み合わせた校倉造り風。換気口を兼ねた逆U字型の切り込みは、後背部に御山(みやま)を彷彿とさせる形状となっています。また壁の内側には、戒名を刻んだ法名碑を短冊状に掛けら れるよう考慮されています。
(2)笠石(屋根)について
・左右にある副墓の屋根は約600㎏、中央にある主墓の屋根は約2,300㎏の重量があります。主墓の屋根は約7.5尺(約2.3m)角の一枚石‐グレー御影石を使って作られました。それを支える梁と柱には60㎜角の鉄パイプが入れられ強度が補われています。天井部分を球状にえぐりビシャン仕上げにすることで、仏様の頭上にある天蓋(てんがい)を表しており、その先にある天上や紫雲を想起させます。
(3)門扉、納骨堂について
・金属製の扉のデザインは、斎藤家のイニシャル「S」を縦長にデフォルメし左右対称に計8つ配置したものです。 石の柵(玉垣)の左側面を利用して設置された墓誌板には、斎藤家の来歴が記されています。コンクリート躯体による地下納骨堂は幅:約4m、高さ:約1.3mで、先祖の遺骨と共に古いお墓も納められています。
◎笠石の取付状況-副墓(左)・主墓(中央)
※司組運輸機工 (株) 運輸機工部による笠石設置作業の連続写真 ⇒こちら