山形県天童市の舞鶴山、天童公園の人間将棋盤です。今回の施工事例紹介は、こちらの人間将棋盤と、その観客席となる大階段の石工事についてご紹介いたします。
将棋駒の生産日本一の天童市で開催される、春の恒例イベント・人間将棋の舞台となる将棋盤は、1つのマス目が1200×1500×厚90mmで、1枚ものの御影石の板材が使われています。将棋盤全体では縦17メートル×横14メートルで、盤の上面にアラビア数字、側面には漢数字、さらにマス目それぞれには、「4六」や「3七」というように、数字をかたどった黒御影石が象嵌(ぞうがん)加工で埋め込まれています。使用されている御影石板材のみで総枚数は121枚、重量は約55tに及びます。
1) 中国、原石の検品と工場視察
◆ 将棋盤に使われる原石の検品・調達(2010年11月)
石丁場(石切場)や工場をいくつも回り、将棋盤に合った色合いの御影石原石を探す。
◆工場にて、将棋盤(数字部分)の象嵌加工に関する打ち合わせ
***象嵌(ぞうがん)加工とは***
石材を彫り込み、そこに異なる色合いの石を埋め込む技法のこと。最後に表面を磨き上げることで、石本来の風合いを活かした色鮮やかなイラストや模様を仕上げることができる。
2) ウォータージェット加工・滑り止め処理
◆ 製作された将棋盤板材の検品のため、再度中国へ(2010年12月)
加工した板材を全て工場内にならべ、石材にキズ等が入っていないか水をかけてチェック。OKが出たものは、図面と照らし合わせながら番号をつけていく。
◆ コンピューター制御のウォータージェット加工による、数字部分の製作
将棋盤上面・側面の板材には、ウォータージェット加工によって数字の形に切り込みが入れられる。さらに工具を使い、切り込みに沿って数字の形へと仕上げられていく。切り込みに埋め込む黒御影石製の数字パーツも、同様にウォータージェット加工で製作された。
こちらは小さいサイズの数字(80ミリ)です。「4五金」、「1七歩」というように、将棋盤の駒の位置を示すための記号(数字)として、全てのマス目に象嵌で埋め込まれた。
◆ 雨の日でも安心!滑り止め(グリップ・フィールド)の塗布
数字パーツ表面、さらに将棋盤のマス目となる直線ボーダー部分に使われる黒御影石にも、滑り止め処理が施された。≪グリップ・フィールド施工:山形市 ㈱日下部工務所 様≫
◆ 象嵌部分の接着・はめ込み作業
ダボ穴のビスで高さ調整しながら、数字パーツをボンドを使い接着していく。
人間将棋の観客席からでも見えやすいように、数字は少しだけ横長に作られています。(高い場所から見下ろす場合、通常の書体だと細長く見えてしまうため)
雨などで水が溜まるのを防ぐために、数字部分は数ミリだけ出っ張るような状態で埋め込めれています。数字表面には滑り止め処理(=グリップフィールド)が施されています。
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