2006年12月8日(金)、宮城県 丸森町の山田石材計画㈱さんにお邪魔してきました。
山田石材計画㈱さんは、彫刻家イサム・ノグチが自らの作品の素材として選んだ
ことで有名な”伊達冠石(だてかんむりいし)”を大蔵山から採石している
石屋さんです。今回は、お邪魔した際に伺ったお話を元に、伊達冠石の魅力に
ついて紹介したいと思います。
[ 伊達冠石の特徴について ]
代表的な5つの特徴
①宮城県産出の両輝石安山岩。同様の石材の産出は世界中でここ(大蔵山)だけ
②丸玉から角張ったものまで、様々な表情を持った自然石の形状で産出する
③艶やかな内面には、微妙な文様があり独特の趣がある
④鉄褐色の色合いを内包し、時と共に味わいを増していく
⑤イサム・ノグチをはじめとして、多くの造形家を魅了している石材
(かつてイサム・ノグチが大蔵山の丁場を訪れ、作品を作るために石を採った
箇所は、いまだに そのままの状態に残してあるとのこと。それは
イサム・ノグチへの敬意を表してのことなのだそうです。)
上記の②でいわれているような、自然石の形状というのが分かっていただける
かと思います。角の丸いものだけでなく、下記のように角張ったものもあります。
採石されたばかりの伊達冠石の外面には泥が付着しています。この独特の
泥は経年して乾燥すると剥がれ落ち、全体に赤味を帯びた面となります。
時間と共にまた違った表情を見せるのだそうです。
※写真:手前 右側にあるのが採石したばかりの伊達冠石の外面(泥付き)
:左奥にあるのが採石して時間が経った外面(泥なし)。
この泥は、伊達冠石の独特の風合いを保つのに大切なものであるため、採石時は
周囲の泥を損なわないように、静かに慎重に採石するのだといいます。
泥を削ると下記写真のようになります。泥を削っただけで まだ磨かれて
いない状態です。
これに研磨を加えることで、こちら↓のように艶を帯びた面となります。
上記の写真は山田石材計画オリジナルの「新タイプ自然デザイン型墓石」です。
採石された時の自然の形を、そのままに生かして墓石にしたもので、同じデザイン
は2つとない”全てオリジナルの形<デザイン>”の墓石です。素朴な温かみを
感じることができます。お問い合わせ先は →コチラです。
艶のある鉄褐色の面は、太陽の紫外線を受けて色合いが変化してくるのも特徴です。
石工職人さん曰く「トロっ」としてきて、より艶が出てくるのだそうです。
そして、下記が「トロっ」の写真です。
※どちらも伊達冠石ですが、左側は昭和66年に採石されたもので より「トロっ」と
した艶が出ています。右側は平成16年に採石されたものです。
伊達冠石が時間と共に風化ではなく、”進化する石”といわれる所以は
ここにあるようです。
[ 大蔵山の緑化活動 ]
上の写真は大蔵山の写真です。この場所はかつて、伊達冠石が採石されていた
丁場の跡地なのだそうです。採石が終わった丁場は、大抵そのままになり
危険なため、誰も近寄れない場所になってしまうことが多いのが現状です。
そこで山田石材計画さんでは、採石の終わった丁場については、地中深くに
掘られた穴を再び埋め直して整備し、木を植えて緑化させているのだといいます。
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「石材で商売をする時、大抵 良いものから使い切ってしまうため商売が終わった
後というのは、非常に悲惨な状態になってしまう場合が少なくありません。
そうならないために、使った場所は元に戻す、山に返すべきだと考えています。
伊達冠石に関しては、本当に大きくて形の良いものはできるだけ商品として出荷
せず、山に埋め戻すようにしています。そうしないと山が駄目になってしまい
結局、何も生み出せない場所を作ることになってしまうからです。」
【山田石材計画㈱ 代表取締役社長 山田政博 氏】
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この緑化活動によって、大蔵山の丁場跡地は地域の人々に観光地
(花見や天体観測に訪れる人が多い)として親しまれているのだといいます。
最後は、今年5月に完成した山田石材計画㈱ 新事務所の写真です。玄関前の
エントランスや床、壁面などに伊達冠石が豊富に使われています。山田社長 曰く
「この場所を拠点として、伊達冠石が持つ物語をもっと多くの人達に伝えて
いきたい」との思いから作ったのだと言います。
建物の形は真上から見ると十字型になっています。建物を囲む四方には庭スペース
があり、今後はここに伊達冠石を使った作品を展示し、春夏秋冬の四季を表す
庭にしていく予定とのことでした。
山田石材計画 株式会社 ホームページ⇒ http://www.datekan.com/
〔 現:大蔵山スタジオ株式会社 〕
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